TECHNOLOGY

樹脂化のイマ

とにかくモノづくりが好き。新しいことをやってみたい!
そんな熱い情熱で、トヨテツの「今」を支えている技術者たち。
樹脂を中心とした非鉄製品の開発を手がける第2技術部の酒井室長も
そのうちの一人。モノづくりに魅せられた永遠の挑戦者です。

生みの苦しみは、ある。
それでもやっぱり「開発っておもしろい!」。

酒井 秀彰Hideaki Sakai

第2技術部 樹脂部品室 室長 現:開発部次長

ものづくりに必要なのは、
発想力と想像力!

私が入社した当時、既に樹脂加工を手がけていたトヨテツ。大学時代に化学を専攻していた私は、樹脂加工技術に携わりたいと希望を出して、自動車部品の樹脂化をメインに担当してきました。今は樹脂部品室の室長として、クルマの骨格にあたるボデー部品や内装部品の設計を担当する「内外装グループ」と、電動化車両に関する製品設計開発を担当する「電子グループ」の2つをマネジメントする立場にいます。
これまで、自動車業界の命題ともいえる軽量化をテーマに、樹脂製アクセルペダルやクラッチペダルの開発、独自開発の特許技術「とよとつ」を採用した好触感内装部品の開発、ボデー骨格の樹脂化など、さまざまなプロジェクトに携わってきました。若手の頃は、企画、設計、試作品の製作、評価までの先行開発を、たった一人で担当していたこともあります。生みの苦しみは感じるものの、発想力と想像力をフル稼働し、ワクワクしながら仕事をしていたことを思い出しますね。

情熱がカタチになって、
お客さまに伝わった。

技術者として一番印象に残っているのは、それまで取引のなかった完成車メーカーのお客さまに、開発製品をプレゼンテーションしたときのこと。そのお客さまは、若い頃からずっと乗っていた好きなメーカーで、私はどうしても苦労して開発した製品を採用して欲しかったんです。プレゼンはもちろん、ファンとしての熱い想いを訴えることからスタートしました(笑)。その想いが通じたのか採用が決定し、新たな取引がはじまったのですが、完成車メーカーによって社風や考え方、スピード感がまったく違うことに驚きましたね。このプロジェクトでは自動車業界だけでなく、ほかの業界の方との出会いやお付き合いがあり、感性が刺激される貴重な経験ができたと思っています。

開発を成功に導くのは、
「作り手の視点」。

製品の開発は、山あり谷ありで数年かかるもの。苦労した末に開発中止の決断を下すこともあるし、着手してから既に20年の歳月を費やしているプロジェクトもあります。高いハードルとなるのは、量産化における効率性。開発プロジェクトでは、高機能化と低コスト化を同時に進めなければなりません。効率よく量産してコストを下げるためには、生産技術部門の力が必要不可欠です。彼らは量産化にあたって、作り手としての視点で開発品を見つめ、生産技術の豊富なノウハウをスパイスのようにふりかけてくれます。それを再度、図面に落とし込んで、ようやく一つの新製品が立ち上がる。生産技術をはじめ品質保証や試験などの関連部署と連携しながら、低コストな高機能製品を開発していくのがトヨテツ流のものづくりです。

未来のシナリオは、ここから。

自動車業界において、今後は「自動運転」と「シェアリング」が重要なキーワードになっていくと思っています。樹脂部品室ではそれを見据えて、2030年までの「開発シナリオ」を既に作成済み。樹脂製品ならではの形状自由度や高い成形加工性を活かした、新たな開発に取り組んでいます。効率性の壁に阻まれて何度も頓挫した、20年越しのプロジェクトも近々量産を開始!鉄、樹脂、アルミに銅にカーボン、マルチマテリアルを扱うトヨテツの強みを、最大限に発揮することができるようになるでしょう。私たちは開発の現場で、そんな未来のシナリオを描いているのです。