TECHNOLOGY

鉄製品のイマ

軽くて強くて製造しやすい、高性能な部品をつくる!
そんな熱い情熱で、トヨテツの「今」を支えている技術者たち。
そのうちの一人、鉄製品を扱う第1技術部の伊藤室長は
5年間の海外赴任で身につけた広い視野を開発に活かしています。

異文化の開発現場で経験した
「先を見据えた仕事」の醍醐味。

伊藤 哲也Tetsuya Ito

第1技術部 ボデーSE推進室 室長

お客さまのニーズを
先読みした開発を。

トヨテツは最先端の技術開発力と優れた生産技術力の両輪で、北米をはじめ海外9か国15拠点で事業展開しているグローバル企業です。日本品質のモノづくりを、実際は海外でどのように展開しているのか。Toyotetsu America, Inc.(TTAI)に5年間赴任していた、私の経験を踏まえてお話ししたいと思います。
私は入社以来、鉄製品の設計と生産準備に携わる部署に所属。そのなかでお客さまである完成車メーカーへの出向を4~5回、のべ7年間ほど経験しました。出向先ではお客さま側の設計者が作図した図面に対して、いかに製造しやすく安定した品質で供給できるかを検討し、量産化が可能な部品への設計をお客さまに提案するという同時進行型の開発を手がけていました。これは「サイマルテニアス・エンジニアリング(SE)」活動といい、完成車メーカーがどんな未来を見据えて開発を進めているかを察知し、最先端の技術や情報をトヨテツ社内にフィードバックしつつ、ニーズを先読みした開発ができるというメリットがあります。

文化や感覚の違いに、
面白味を感じて。

転機となったのは、ミシガン州にあるお客さまの海外拠点へ9か月ほど技術支援に行ったことでした。アメリカ人は忖度もしなければ、空気も読みません(笑)。曖昧な指示には決して納得せず、理路整然と説明しなければ動いてくれない。でも一度理解してもらえば、彼らは必ずやり遂げてくれます。たとえ若手であろうが、スキルを持っている技術者に対するリスペクトがあり、一緒にやれる!と思ってもらえれば仕事はすごくやりやすい。最初の苦労はやがて手応えに変わる、そんなところがとても面白かったですね。

最新プロジェクトを、
日米で同時進行。

その経験をきっかけに、私は海外赴任をしたいと思うように。希望を出してから3年ほど経って、TTAIへの赴任が決まりました。そこで取り組んでいたのが、加熱した鋼板を急冷する強度と成形性に優れた最新技術「ホットプレス」を使った大型ボデー部品の開発プロジェクト。それまで小型部品で使っていたホットプレスを、骨格部分のセンターボデーピラーに使うのは日米ともに初めての試みでした。
最先端技術は日本で十分に検討され、日本から発信されます。TTAIにいる私は、まだ見たことも作ったこともない最新製品の図面を受け取り、ローカルメンバーと一緒に噛み砕いて、実際の部品設計に落とし込む導入部分を担当。お客さま側で製造するボデー部分との整合性が重要になるため、650kmほど離れたお客さまの海外拠点まで、月に5~6回は車で出張していましたね。日本と同時進行で精度の高い部品を開発するのは、凄まじいプレッシャーがありましたが、トヨテツの未来につながる重要なプロジェクトに携わった経験は私の財産です。

物事を俯瞰的に捉える力が、
未来の推進力になる。

TTAIはアメリカにある6拠点を統括するキーセンター。機能集約された拠点だったこともあり、日本では経験できないような仕事をさせてもらいました。日本では細分化された業務をそれぞれのプロフェッショナルが行いますが、TTAIでは広く全体をマネジメントする仕事に挑戦させてもらえました。視野が広がり、技術開発とともに効率や採算性にも目がいくようになりました。
帰国して1年ほどが経ちますが、TTAIでのプロジェクト以降、いろいろな関係部署が横系列で連携しあうことでスピード感が高まったように感じます。鉄製品の未来、自動車業界の未来を見据えて、トヨテツはこれからも進化していきますよ!